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1993年1月31日

「環境保全を追い風に」「快走、エコビジネス」


1993年1月31日 山梨日日新聞

快走エコビジネス(県内)
環境保全追い風に 脱フロン、天然石売り物 引き合いが大幅増

 地球的規模で環境問題が注目されている中、県内でも環境や景観に配慮した企業の商品が注目を集めている。都留市桂町1230−1、サンアイ(相川猛社長)は、プレス加工などの金属加工時にフロンの洗浄工程がいらない加工油を販売。通産省が五日、フロンなどオゾン層破壊物質を「1995年末に前倒し全廃」の方針を打ち出したため、大手メーカーなどを含めて急激に引き合いが増えた。表面に天然石をはめ込んだ特殊コンクリートブロックを扱う富士吉田市上吉田3762−1、日本ナチュロック(佐藤悦三社長)は、景観保全意識の高まりを追い風に毎年取引量を倍増させている。長引く景気低迷の影響は県内経済界にも深刻な影を落としているが、時宜を得た“エコビジネス”は活況をみせている。

 サンアイの加工油は親会社の相川プレス工業(本社・都留市鹿留106−1、相川社長)が神奈川県横浜市の金属加工油メーカーと共同で開発。当社は自社のプレス加工工程で、戦場工程を省いてコストダウンにつなげるために使用していた。
通常の加工油は粘度が高く、加工後にフロンやトリクロロエタンなど有機溶剤での洗浄が必要になる。同社が開発した加工油は灯油並みの粘度の精製鉱油をベースに、油脂や防錆(ぼうせい)剤を添加している。速乾性のために洗浄の必要がなく、さび止めの効果も望めるという。
サンアイは1990年ごろから本格的に加工油の外販を始め、92年春になって電子機器やOA機器関連を中心に、採用企業が急増した。現在は月間出荷量が約5万リットルと、前年当初に比べて2倍程度の伸びとなっている。
日本ナチュロックの特殊コンクリートブロック「ナチュロック」は、親会社の富士特殊コンクリート工業(本社・南都留郡西桂町倉見1378−1、佐藤社長)が富士山の落石防止工事で景観を損なわないようにと開発した。自然石や溶岩をはめ込んだブロックを用意し、コンピューターによるシミュレーションで設置場所に適した色や材質を選ぶ。
景観保護の観点から、公園や宅地造成、道路、河川などの築堤として、近年特に注目されるようになった。全国23社に製造技術を供与し、90年度に15万個だった受注量は、91年度に25万個、92年度には50万個に達する見通しだ。
日本ナチュロックは93年4月の移転、開設予定で、甲府市屋形二丁目に新本社を建設している。新本社には景観研究所の併設を計画しており、景観に関する情報収集と総合的な研究を進める。同社は「景観を重視する観点から工事設計や提案などをしていきたい」と話している。