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1998年3月15日

土木に留まらない生態系建材で建築の環境共生にも新境地拓く


1998年3月15日 月間建材フォーラム

土木に留まらない生態系建材で
建築の環境共生にも新境地拓く

佐藤俊明氏
日本ナチュロック(株)専務取締役 プランニングディレクター

 日本ナチュロック(東京都港区赤坂7−6−43)は、天然石とコンクリートブロックを複合化させたナチュロック(製品名=ナチュラル+ブロックの造語)を社名に冠した、文字通り環境共生材料の専門メーカー。同社は、すでに12年ほど前から環境や景観と調和する材料開発に取り組み、緑化やビオトーブの創出に数多くの実績を上げている。
そこで陣頭指揮を執るのがナチュロックの開発者であり、推進役でもある佐藤氏。ナチュロックをベースにした、環境保全や生態系の保護に関する研究を永年手がけてきた。もちろん、メーカーとして具体的な材料開発を前提にした研究であり、現場施工の実際を熟知した上での開発である。
その成果が実ったのが、溶岩とブロックを組み合わせた「多孔質生態系環境ブロック」。12年前富士山の登山道の土留めに採用され、周辺の景観に見事に調和したとして環境庁や建設省のお墨付きをもらった。その後、山梨大学との共同研究で生態系の保護・育成に効果が高いことも証明された。
漸く環境の問題に世の中が関心をもちはじめたこの2〜3年、佐藤氏は多忙である。溶岩の保水性とブロックの施工性のよさを合体させた発想力と、環境ビジネスの確立を目指すエネルギッシュな行動力に魅せられた、氏のファンも増えている。その証しに、環境に関連する様々な会への参加要請や講演の依頼なども数多い。だが、氏はいたって冷静に語る。

  1. 環境共生の本質を大事に

「最近、急にビオトープとか緑化とか言われ出したけど、それを本当に理解している人はほとんどいないと思いますね。例えば“神田川に鯉が泳いでいるから水がきれいになった”と一般の人は考えますが、恋は汚い水でも生きていける。これをビジネスに悪用すれば“鯉がいるからきれいな川になりました”と騙せるわけです。環境や景観に関心が高まったいまこそ、本質を伝えていく努力が必要です。私どもの生態系ブロックにしても、ただ流行りだけで捉えられないように努めています。本当に大事なことは、分かる人にしか分からないし、分かる人には分かるわけですから」

地道に製品開発に携わってきた自負と、ブーム化してしまうことへの懸念が交錯している。