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2000年9月18日

多孔質環境製品シリーズを推進



2000年9月18日 週間ブロック通信

多孔質環境製品シリーズを推進
日本ナチュロック・3タイプで販売強化

日本ナチュロック(本社、東京都港区赤坂、社長=佐藤悦三氏)が推進する多孔質環境製品シリーズは、溶岩など大小無数の孔隙をもつ天然多孔質材料をコンクリート表面に取り込んだ天然素材とコンクリートブロックのハイブリッド(複合)製品だ。同社では、富士山周辺の台地を覆った溶岩が適度な湿気を含み、青木ヶ原の受戒に代表されるような大森林地帯を形成していることにヒントを得て、コンクリート構造物でも適度な緑化可能な環境を作り出すことができるのではないかという発想からこのシリーズを開発した。いずれの製品も粒径の小さな天然石を用いることで、従来以上に表面の凹凸を大きくすると共に、これまではがれやすかった天然石とコンクリート部を強固に結合する技術を開発して天然石と天然石の間の目地部が粒径の小さな石および砂で覆われるようにした。このようにナチュロックは外から見える部分にはコンクリートを使わず、面部分が天然の砂と石で覆われているため表面に自然な凹凸が生まれ、しかも隣接するブロックとの隙間を設けることもできる。このような凹凸や隙間は、コケ類や草などの植物が自然発生する舞台となり小動物などの格好の生息場所にもなる。
昨年5月にイタリアのベネチアで開催されたプレキャストコンクリート製品に関する国際会議BIBM’99においても天然石とコンクリートブロックを複合利用したナチュロック製品は、会議参加者の大きな反響と高い評価を得た。
ナチュロック製品の中で、最近特に同社が普及に力を入れているのが中小河川向けに開発したビオボード(商品名)だ。この製品は薄型のコンクリートボードの表面に他の多孔質環境製品シリーズと同様、溶岩などの天然石を使用した生物の生息空間を創出する河川護岸用の生態系復元パネルで、既存の壁面に貼る後貼りタイプと新設の残存方枠タイプの二種類がある。後貼りタイプの最大の特徴は既存の河川護岸を始めとするコンクリート構造物をビオボードで覆うだけの簡易施工なので垂直壁面にも対応できる他、解体工事を必要としない分だけ工期が短縮され、コンクリート廃材などのしょりも不要になるなど、周辺環境への影響も軽減され経済性にも優れている。しかも軽量化・薄型化が図られており、自由に切断できるので現場加工も容易だ。このためコンクリートによる三面張り護岸を環境や生態系に配慮した水辺空間へと復元する修景工事には最適の工法で、ビオボード後張りタイプは河川護岸など既存のコンクリートを壊さず生き物が生息する優れた環境素材ということができる。また残存型枠タイプは施工完了後の型枠解体工事が不要なので、産業廃棄物などの排出がないクリーン施工であるとともに、型枠大工を必要とせず重機もひつようとしない合理化工法を実現した。また型枠の保守・保管・取り外しが不要となるので工期が短縮され連結用特殊金具の使用により現場打ちコンクリートとの一体化が図れ、経済性にも優れた工法だ。外壁化粧板には多孔質な天然石を使用しているのでコケ類等の植物が自然発生しポーラス状の多孔質環境が昆虫や小さな生き物たちの棲みかとなるなど、ビオボード残存型枠タイプは生物の生息空間を創出する生態系復元型枠タイプといえる。
サイズはAタイプ=高さ300ミリ×長さ1,100ミリ×厚さ20ミリ(参考重量約22キロ)、Bタイプ=300ミリ×1,100ミリ×20ミリ(同約10キロ)、Cタイプ=300ミリ×900ミリ×8ミリ(同約15キロ)となっている。
この他にも同社では中小河川用の多孔質環境積みブロックとしてすきまブロック(商品名)を開発している。これは角部分に一ヵ所から四ヵ所まで四タイプの切り掛けを入れたタイプの多孔質環境積みブロックで、すきまブロックを積むことでランダムなすきまを形成し、植物や小動物の生育場所を確保するように設計されている。同社ではこの3タイプを中小河川の生態復元用素材と位置づけ。今後都市部の河川護岸などへの採用を働きかけていく方針だ。

写真注釈:水際に生えたコケや草が生態系を作り出す
写真注釈:施工数年でコケがびっしりと繁茂する