2000年12月1日
この人に聞く(インタビュー)「天然石を使ったビオボードで、他の生物と共生する環境を都市部に創出」
2000年12月1日 月刊環境共生住宅
「この人に聞く」
天然石を使ったボードで、
他の生物と共生する環境を
都市部に創出
- まず御社の概容についてお聞かせ下さい。
佐藤氏 当社の設立には、私が生まれ育った環境が大きく関わっています。山梨県富士吉田市で毎日富士山を眺めて暮らしていたのですが、富士山麓の護岸工事などにありふれたコンクリートブロックが使われていて、富士山の景観には全く不釣合い、元々の自然とあまりにもかけ離れた姿に強い違和感を覚えたのが会社設立のきっかけです。そこで当社ではブロックの表面に溶岩や河原の石など地元にある天然石を埋め込んだ「ナチュロック」を開発・発売しました。
社名にも使っている「ナチュロック」は天然石で表面を覆っているために自然の景観になじむ一方、保水性に富み、素材が多孔質であることから植物が発生したり、また微生物が棲みつくなどして一種のビオトープが形成されるのが特徴です。富士山では登山道の落石防止用壁材に採用されたほか、河川の護岸、ビルの壁面、屋上、外構工事などに導入され、1987年の設立当初は8,000万円ほどだった当社の売上高も現在では8億円を超えるまでになっています。
- 建築の分野に本格的に進出されるとお伺いしていますが。
佐藤氏 治水などを目的にコンクリートで三面張りにされてしまった河川に再び生き物が生息できる環境が取り戻せるような製品をこれまで開発してきましたが、当社の技術は、コンクリートで覆われた都市の中に自然環境を再生させることもできると確信し、土木のみでなく建築の世界にも関わっていくことにしました。
まずはナチュロックを使ったガーデニング。過熱気味だったイングリッシュガーデンのブームは下火になりましたが、各地域の気候や風土に馴染んだ新しい形のガーデニングへの関心はむしろ高まりつつあり、この流れにのりながら当社は住宅の分野に進出しようと考えています。河川の護岸における生態系の再生で実績を積み上げてきた当社の技術を、都市部の自然環境再生に役立てたいと考えています。