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2001年10月10日

護岸や壁 緑に染める



2001年10月10日 日本経済新聞

溶岩張り付け植物根付く
護岸や壁 緑に染める

 ビルの壁面や河川のコンクリート護岸に植物が生え、緑が覆う。そんな光景を実現させる建設資材がある。資材メーカーの日本ナチュロック(東京・港、佐藤悦三社長)が開発した「ビオボード」だ。コンクリート板の上に溶岩を接着した構造で、表面に植物が自生する。壁面や護岸などに取り付けて使う。
溶岩は表面に多くの微細な穴を持つため、雨水や河川の水などを内部に蓄える力が大きい。湿った状態の溶岩の内部や表面に微細な生物が繁殖し、コケも発生する。続いて植物の種子が付き、背の低い草が徐々に増えていく。
河川の護岸など常に水が近くにある場所では設置から約2年、水気のないところでも10年程度あれば表面を緑が覆うという。「ビオボードの表面には虫や沢ガニなども住み着く。人間の手をできるだけ加えずに、自然のままの生態系を再現することができる」と佐藤敏明専務は説明する。
元々、山梨県西桂町で建設資材メーカーとしてスタート。地元富士山の溶岩を利用できないかと考え、ビオボードに行き着いた。製品化に際しては当初、三宅島産を使っていたが、最近は富士山ろくで採れるものに戻っている。
採取した石を手を加えずコンクリート板に接着する製品と板状に薄く切って接着する製品がある。1平方メートル当たりの価格は4万円程度で、石を加工しない製品の重さは約60キロ。1996年に販売を始め、すでに約1万平方メートル分を設置した。
今年の9月上旬にはコンクリート板の代わりにポリエステル製の布を使い、軽くて折り曲げられる製品「ビオフィルム」も発売した。1平方メートル当たりの重さは約8キロ、価格が1万2,000円。顧客から要望があればポリエステル織物を他の合成繊維や薄い鉄板、合成繊維のネットなどに代えて作ることもできる。
ビオボードは大規模な工事の際に資材として使われることが多いが、ビオフィルムは一般家庭向けの製品としても売り込む。自宅の壁の緑化用やガーデニング資材としての利用を見込んでいる。建材メーカーなど販売代理店を現在探しており、将来はホームセンターなど小売店の店頭でも売る計画だ。

写真注釈:ビオボードの壁面への設置例